Brave×電通のレポートから読み解くBraveブラウザの将来性



お堅いタイトルにしましたが・・・

この記事の中身はBrave and dentsu international Show that Advertisers’ Messages Resonate with Ad Choosersのより詳細なWhite paper,いわゆる「白書」ですね。こちらの翻訳と個人的な所感を書いたものになっています。

ちなみに白書のタイトルは
Engaging with the New ‘Ad Choosers’
です。

まずは書いてあることを訳し、その後に個人的な感想などを書く、という感じになっています。

Executive Summery

翻訳

消費者(ここではブラウザの利用者)はますます自身のネット上でのプライバシーの保護やメディアプラットフォーム上での過剰な広告への対応に関心を集めている。
同時に、サードパーティークッキーは2022年には廃止されることになっている。
広告主(=広告を打つ人)はいわゆる"監視型のメディア製品"を使わずにメディアの成果を促進する方法を求められている。
Braveブラウザは月間約2500万人のアクティブユーザーを持つ、ユーザーのプライバシーを保護することを目的として構築された初めてのプライバシーベースの広告プラットフォームである。

電通インターナショナルはBrave上での広告が他のデジタルキャンペーンに比べて広告主のブランディング指標にどのような影響を与えるかを調査した。
その結果、従来の広告モデルを用いたパブリッシャーと比べて、Braveの広告は他の類似したデジタルキャンペーンよりも優れている、ということが判明した。

デジタル広告のエコシステムからサードパーティクッキーが削除されていく中で、広告主が成功するには「Ad Choosers」を尊重して広告を結び付けていくことが重要である。

所感

サードパーティークッキーの廃止に関してはChoroniumのブログでリリースされていましたね。

内容としては2022年を目処にGoogleのChroniumコミュニティはサードパーティークッキーの利用を廃止して個人情報保護の方向性を打ち出した、という話でした。

実際はこんなニュースが出ているのでなんとも言えませんが。
Chromeで「シークレットモードでも個人情報を収集」発覚、Googleが約5000億円の集団訴訟に直面

監視型の広告、というのはこれまで利用されていたサードパーティークッキーを使って運用していた広告のことを指しているのでしょう。

Brave公式も関わっている白書なので、もちろんプラスの内容を書いてあるはずとは思っていました。
ただ、場合によっては効果的だった、という内容がある程度実証されているのかが気になります。

どういった調査を行ったのかも白書中で記載があったので、その部分に関しても要約しておきます。

Brave ‘Ad Choosers’

翻訳

Brave Browserの月間ユーザー数は2500万人で、そのユーザー達は広告ブロック機能を内蔵したブラウザに魅力を感じている。

ユーザーはプライバシーを保護するBraveの広告通知を「オプトイン」(宣伝広告の受け取りを、ユーザーが許可する意思を示すこと)することができるようになっており、仮にこれらの広告を開いて閲覧した場合、仮想通貨(BAT)での報酬を得ることができる。

これらの広告はブラウジングの邪魔にならないだけでなく、これらの広告を見ることで、ユーザーは実際に
"もらった仮想通貨は、お気に入りのコンテンツ制作者や出版社へのチップとして使用したり、ギフトカードに交換したりすることができるためで、Braveの広告通知は、広告の閲覧を妨げるものではない、ということだ。
Braveのプライバシーフォーカスされたブラウザはいかなるデータも収集せず、ユーザーは、仮に広告を誤ってクリックして開いたとしても、Web上で再びターゲットされることはないため安心できる。

Braveは、モバイルとデスクトップの広告を活用して、ユーザーをTwitterやその他のソーシャルプラットフォームに誘導し、特定のブランドやプロモーションに関する会話に参加させることもでき、また、広告の通知にハッシュタグを追加することで、ソーシャル・アクセラレーションを実現できる。

Braveは、「広告を選んだ人」の間でブランドメッセージを増幅させるためのもう一つの方法となっている。

Braveの視聴者を対象とした匿名の調査によると、これらの貴重な消費者は、他ではリーチしにくいことがわかっており、このような貴重な消費者は、他の広告では獲得が難しいことがわかっている。
現に、Braveユーザーの5人に1人しか広告付きテレビを見ていない。
彼らのブラウジングの75% はBraveで行われており、他のブラウザを使用する場合、10人中6人が広告ブロック(アドブロック)をインストールしている。
つまり、Braveのユーザーが広告を閲覧することを選択した場合、その広告は、雑然とした状況で表示される他の広告よりも記憶に残りやすい、ということになる。

そこで、Braveは電通インターナショナルと提携し、3つのカテゴリー(テクノロジー、メディア、エンターテイメント)の3つのブランドのキャンペーンを実施した。

具体的な内容として、キャンペーン前とキャンペーン後のブランドリフト(ブランディング広告に接触したユーザーと接触していないユーザーを比較し、接触したユーザーのブランドの認知や購買意欲が向上しているかどうかを測る指標のこと)を測定した。

この結果は、広告主と代理店が他の伝統的なオンライン広告で実施した場合のブランドリフト調査と比較された。

調査の具体的な方法としては、

キャンペーン開始前に、Braveは広告主のキャンペーンと同様の関心領域を持つBraveユーザーにプッシュ通知でアンケートの招待状を送り、キャンペーン後に、広告キャンペーンと同じフットプリントにアンケート招待状を配信する。

この方法によって、アンケート結果を取得する際に消費者のプライバシーを守ることができ、キャンペーンに接触したユーザーをリターゲティングすることで、事前事後調査を行う多くのベンダーとは異なる。

Braveのプライバシープロトコルはリターゲティングを許可していないため、アンケートの招待状を受け取ったBraveのユーザーは、広告を見ることになる。

例えば、ブレイブユーザーがスポンサー画像が表示された日にブラウザを使用しなかった場合、その広告を目にすることはあなかった。

このように考えると、Braveの調査結果は、私たちが考える結果よりも保守的であると考えられる。
同時に、従来のキャンペーン後にアンケートの招待状を受け取った人は、ターゲット広告に接触していた、ということになる。

電通インターナショナルがBraveと実施した3つのキャンペーンでは、全体的にポジティブな結果を得ることができ、さらに、広告主が実施した他のオンラインキャンペーンと比較して、より良好なブランドリフト結果が得られました。

ブランドA:テクノロジーブランド

別のデジタルキャンペーンと比較して広告想起率が+26%上昇した。

Braveの広告は、Braveの視聴者の記憶に残るだけでなく、スポンサーとの関係も2倍以上になった。(注:恐らくスポンサーの広告想起率が従来の2倍以上になったということだろう。)

ブランドB:メディアブランド DAZN

DAZNでは、Braveブラウザでの1週間のキャンペーンと、他のオンラインサービスでの8週間のキャンペーンの結果を比較した。

他のキャンペーンと比較して、購読する可能性が 38% 上昇した。

"クッキーのサポートの終わりは避けられず、プライバシーを重視したソリューションの必要性が高まっていることに関心を持つエージェンシーとして、プライバシーを重視したソリューションへのニーズが高まっている中、私たちは、業界が可能な限り最善の方法でクライアントをサポートしたいと考えています。
私たちは、この業界が進化していく中で、お客様に最善の方法を提供したいと考えています。私たちが求めていたのは
その勢いを持続させるために、Braveのパフォーマンスを証明するものでした。
それがあることで新しいメディアでの広告の成功の軌跡になると考えたからであり、Braveはそれを実現してくれたのです。
" - エイミー・シーゲル(副社長、イノベーション・アクバオン担当ディレクター 電通インターナショナル

ブランドC:金融サービスブランド

Braveで広告を出した金融サービスブランドでは、このブランドが2倍のメディアウェイトを持つソーシャルプラットフォームで行ったキャンペーンの広告想起率と比較して、16% 上昇した。

ここで重要なのは、Braveの事前事後調査は、広告主のキャンペーンと同じターゲティングを利用して、ブレイブユーザーにアンケートの招待状を送っていることだ。

他のデジタルプラットフォームでは、キャンペーンに接触した人をリターゲティングして調査アンケートを提供している。

対して、Braveユーザーは広告キャンペーンを「見る機会」はあったが、必ずしもキャンペーンに接触したわけではないので、
この16% の増加は保守的なものと言える。

また、Braveでは広告のリコールが高かったことに加えて、キャンペーン後にメッセージの想起率が67% も高まったのに対し、他のデジタルプラットフォームで同様のキャンペーンを行ったところ、金融サービスブランドでは、メッセージの想起率は向上しなかった。

所感

かなりポジティブな値が出ていますね。
全体的な傾向として、これまでのデジタル広告に対してターゲットを絞っている分、広告に対する印象や記憶に残る率が向上していることを伝えたいように見えます。

Lack of Clutter Means Results

翻訳

マーケターは、Brave広告のすっきりとした環境とオプトインの性質から恩恵を受けている。

私たちが実施した20のキャンペーン後の調査では、広告のリコールは平均で49% という結果になった。
この数字は、デジタルキャンペーンとしては前代未聞であり、おそらく3ネットワークテレビの時代以来のことと言える。

また、これらの広告を見たと答えた人のうち、平均して76%
その広告をクリックしたと答えています。興味深いことに、今回測定したキャンペーンでは、Braveユーザーの中で他の場所で特定の広告主の広告を見た人は、平均で14% しかいなかった。

私たちは、Braveユーザーの間では、主要なブランド認知に大きな変化が見られ、多くの場合、当社ブランドの使用または購入意向の増加と結びついていると考えている。

広告に対する一般的な懐疑論にもかかわらず、Braveユーザーの半数は、Braveに広告を掲載しているブランドに対して、よりポジティブな印象を持っていることを認めている。
彼らが他の場所でパートナーの広告を目にすることはまずない。
私たちは、このようなリーチしにくい魅力的な消費者にリーチし、エンゲージメントを獲得するお手伝いができることを嬉しく思う。

Key Insights:

「広告を選ぶ人」と「広告を避ける人」。

  • 広告プラットフォームは、ユーザーベースで「広告を選ぶ人」にインセンティブする価値提案を開発することが可能である。
  • 「広告を選ぶ人」は、多くの伝統的なメディアプラットフォームから脱退しており、広告メッセージを届けるのが難しい。
  • 広告主を自分のメディア体験に招き入れた「広告を選ぶ人」は、広告に気づき、関与する非監視下のメディアが結果をもたらす。

監視システムに依存しないメディアが結果をもたらす

  • オプトイン環境で配信される広告は、他のデジタル広告プラットフォームでの中断された広告よりも目立つという特徴がある。ブランド/プロモーションの認知度、メッセージの関連性、購入意向に至るまで、他のデジタル広告プラットフォームの中断型広告よりも際立っている。

  • 注目度と広告エンゲージメントの向上は、ブランドにとって強力なブランディングKPIとなる。

所感

これまでの広告との比較を推していますね。
確かにこれまでの広告はかなり頓珍漢な提案の形が多かった(個人的な印象ですが)気がします。

仮にBraveのシェアが増えていくことになれば、これからの広告の形は数を打つ、というような形式から質を考えた形式に切り替えていく、というような未来も想像できますね。

おわりに

時間がかかりましたがかなり新しいレポートだったのでこういった記事を書けてよかったです。
拙い日本語、かつ部分的な翻訳となっているので、気になる方は是非ソース元を確認していただければと思います。

読んでいただきありがとうございました。

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